★秋と冬のあいだにある、庭の静かな時間★
11月の半ば。
外に出ると、空気が少しずつ冬の気配をまといながらも、
まだどこか秋の柔らかさを残しています。
この季節のお庭は、じつはとても表情豊かです。
夏のにぎやかさが落ち着き、色づいた葉がひらりと風に乗る。
冬の準備に入る植物たちは、背伸びをするわけでもなく、
静かに季節の移り変わりを受け止めているように見えます。
庭と向き合うと、季節の“間”の時間があることに気づきます。
秋でも冬でもない、名前のつかない一瞬。
日中はまだ少し暖かく、夕方になると一気に冷える。
そんな曖昧なゆらぎの中に、お庭は驚くほど素直に反応します。
落ち葉がふえてきたら、土の上に一枚だけ残してみる。
それだけで景色が変わることがあります。
日差しの角度が変われば、樹木の影が地面に長く伸びて
まるで別の庭みたいになる日も。
外構や庭づくりの仕事をしていると、
“季節の節目”に敏感になります。
11月は特に、毎日の変化が面白く、
「今日の庭はどんな表情かな」と
つい足を止めたくなる季節です。
この時期の庭は、にぎやかさは少ないけれど、
その静けさの中に深い魅力が詰まっています。
冬支度の前に訪れる、ほんの短い休符のような時間。
ふとした瞬間に外へ出て、
風のにおいをすこし感じるだけでも、
心がゆるむことがあります。
忙しさが増える前の11月。
どうぞ皆さまも、自分の“庭の一瞬”を
見つけてみてくださいね。

